隠された「青春の泉」=松果体の驚くべぎ機能

 

この世に「青春の泉」が本当に存在するなら、それはおそらく、あなたの両耳を結んだ線上の中間点に存在しているはずである。つまり、頭脳の中心部にである。その場所には、「松果体」と呼ばれる小さな円錐形の腺がある。厳密な意味では泉とはいえな いが、ホルモンを分泌する器官である。

分泌されるホルモンは、「メラトニン」と名づけられている。だが、その分泌量は測定が不可能なほどわずかである。分泌量は少なくても、そのホルモンの研究が進むにつれて、それが肉体の最も基本的な機能に大きな影響を及ぼしていることがわかった。そのため、メラトニンは、人体が分泌する最もパワフルなホルモンとして注目されるにいたった。

松果体は、神経経路を通じて目と直接結びついており、暗闇になるとメラトニンを分泌する。メラトニンは、肉体の基本的なリズムを調整する作用をもつホルモンである。初期の研究では、 主として旅行者やシフト・ワーカーを悩ませていた睡眠サイクルの問題に焦点が当てられていた。

しかし、研究が進むにつれて、それが人体に与えている長期的影響が明らかになった。研究者はいま、メラトニンを、まったく関連のなさそうな病気の治療に利用できるかもしれないと考えはじめている。その理由は、次のとおりである。

一般的に、細胞が最も破壊されるのは、「酸化」と呼ばれる化学反応によってである。日常生活では、鉄が腐食し、ペンキが色あせ、オイルが悪臭を放つといった現象として現れるが、細胞レベルでは、細胞の複雑で繊細な化学構造を破壊する。

その種の化学的攻撃は、皮膚のシワから心臓病にいたるさまざまな健康問題にかかわる厄介なものである。しかもその反応は、細胞のDNAに損傷を与えることで、健康な細胞を最もたちの 悪い細胞に変化させ、ガンを発生させるという悪さをする。こういった病気の予防や治療に大きく貢献する可能性を秘めているのがメラトニンであり、これまでに発見された最も強力な「抗酸化剤」の一つといえる。

メラトニンが細胞内に存在することで、酸化による化学的損傷の発生が抑制される。細胞の酸化を防ぐことは、高血圧や心臓病につながる血管内の変化を抑制したり、特定のガンの発生確率を減少させることに大きく貢献する。事実、メラトニンの乳ガン抑制効果を検証する臨床試験がすでに開始されている。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です