老化とは単に人間の進化の産物に過ぎない

老化のプロセスは進化の産物である。それは、乾いた大地で生きる能力と同じように、人間が進化の過程で身につけたものと考えられる。だが、このことは、いまのあなたにはピンと来ないかもしれない。年をとることが進化とどう結びつくのか?老化にどんな利点があるというのか?という疑問が湧いてくるだろう。

個人的な観点からすれば、あまり利点はない。しかし、種全体から考えれば、老化と死は、一つの世代と次の世代との間の資源(食べ物、水、住居、その他の資源)の奪い合いを制限するこ 卜とで、進化に大きく貢献していることになる。

何年か前、コロラド州知事のリチャード・ラムは、「高齢者たちには、死んで次の世代の人々に道を譲る責任がある」と発言して非難の矢面に立たされたことがある。その発言は、政治的に は大きな誤りだが、生物学的には理に適ったものである。進化の観点に立てば、一つの世代の役割は、次の世代が性的に成熟した時点で終了することになる。

何人かの研究者は、同じ趣旨のことを刺激の少ない言いまわしで主張している。彼らは、「一定の安定した人口の中では、誕生率と死亡率が常に一致していることが望ましい」と語った。その見解は、「古い世代の人々の死ぬのが早ければ早いほど、新しい世代の人が早く誕生し、それが人類全体の進化の速度を速めることになる」という結論につながっている。その意味では、人類は、他のもっと短命な生き物よりも進化の速度が遅いといえるかもしれない。

たとえば昆虫は、誕生して数週間あるいは数日もすれば死んでしまう。その速やかな世代交代は、昆虫を進化の理想的な実験動物にしているだけでなく、彼らの進化を早めることで、種としての生存に大きく貢献している。事実、有機殺虫剤が登場してからわずか五十数年のうちに、それによって絶滅しているはずの昆虫が耐性のある生命体へと確実に進化している。

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